ソフトバンクの孫正義最高経営責任者(CEO)は本日、大胆な発表を行い、人工超知能(ASI)を何が何でも追求すると宣言した。この宣言は投資家の警戒心を引き起こし、ARMの株価は10%近く急落した。
孫正義の歴史:リスクテイカーの旅
孫正義は、リスクに対する旺盛な意欲で知られる伝説的な人物だ。ジャック・マーが孫正義のことを「おそらく投資に関して世界で一番度胸がある」と言ったのは有名な話だ。
1981年、当初はソフトウェア販売会社としてソフトバンクを設立。数十年にわたり、孫氏の大胆な投資と野心的なビジョンは世間を賑わせ、大金を賭けたギャンブルを好むリスクテイカーとしての評判を確固たるものにした。
主な投資勝利と悲劇
孫氏の投資ポートフォリオは、伝説的な成功と大失敗を誇っている。1995年、彼はヤフーに1億ドルを投資して30%の株式を取得し、翌年にはヤフーのナスダック上場によってソフトバンクは250%の利益を得た。また、2000年にアリババに2000万ドルを投資し、2014年までに600億ドルに膨れ上がり、3000倍という驚異的な成長を遂げた。
しかし、孫社長のキャリアには大きな挫折もあった。最も顕著な失敗は、現在倒産しているWeWorkで、ソフトバンクは140億ドルの損失を被った。こうした極端な高値と安値は、孫氏のハイリスク・ハイリターン戦略を反映したものであり、しばしば彼の投資センスに対する両極端な意見につながっている。
ソフトバンクグループのポートフォリオ:ビジョンファンドとARM
2017年、孫氏はソフトバンク・ビジョン・ファンドを立ち上げ、1,000億ドル以上を集め、テクノロジーに特化したベンチャー・キャピタル・ファンドとしては世界最大となった。大きな夢と国際的な事業展開に焦点を当てた積極的な投資戦略で、ビジョン・ファンドは瞬く間に波紋を広げた。しかし、続くビジョン・ファンド2では、孫氏の物議を醸す投資スタイルに影響されたと思われる外部支援の不足により、ソフトバンクは500億ドル以上を投資したが、この成功を再現するのに苦戦した。
ソフトバンクは、AIを駆使したハイテク分野で重要な役割を果たしているARMを買収した。ARMの業績と技術的進歩は、ソフトバンクの市場からの信頼を高めるのに大きく貢献し、最近の孫氏の発言に至るまで、孫氏を日本で最も裕福な人物に押し上げた。
孫正義のスピーチ:イザナギとASIを中心に
最近の株主総会での孫社長のスピーチでは、AI関連チップに1000億ドルの投資を計画している「いざなぎプロジェクト」へのコミットメントが強調された。プロジェクトの具体的な内容について質問された孫社長は、詳細をほとんど説明しなかったが、ASIの追求に対する揺るぎない献身を示した。彼は、自社株買いや配当といった従来の財務指標よりも、スーパーインテリジェンスによる人類の進化を優先した。
ASIのビジョンと比較して、目先の財務的リターンが相対的に重要でないという孫社長の発言は、投資家の間で孫社長の戦略的方向性と優先順位付けに対する懸念を引き起こした。孫氏の発言は、自社株買いや配当は、最終的に株主価値を高めると信じている技術的な願望に比べれば些細な問題であるとの見解を強調した。
市場のセンチメントギャンブラーの再来
孫社長の演説に対する市場の反応は圧倒的に否定的だ。多くの投資家は、孫氏の意欲を、過去のベンチャー企業を彷彿とさせるような、またしても高額の賭けに出たと見ている。WeWorkのような大失敗が再び起こることを恐れた投資家はARM株を手放し始め、10%近い暴落となった。
孫社長がASIの追求に執念を燃やしていることから、ソフトバンクが過剰に拡大し、財務の安定性が損なわれるのではないかという懸念が高まっている。このような投資家の懐疑的な見方は、孫社長が先見性のあるプロジェクトと慎重な財務管理を両立させる能力について、より広範な懸念があることを反映している。
先見性のある野心か、リスクの高い行き過ぎか?
ASIを追いかけるという孫正義の宣言は、投資家を分裂させた。ヤフーやアリババへの彼の伝説的な投資の反響を見る人がいる一方で、WeWorkのような大失敗を恐れる人も多い。この最新の大胆な動きは、ソフトバンクが重大な岐路に立たされていることを示唆しており、その壮大な野望に導かれたCEOは、会社を新たな高みへと昇華させるか、破滅的な没落に導くかのどちらかだ。孫社長が変革的なテクノロジーを支持し続けるなか、市場は、彼の先見性の追求が実を結ぶのか、それともリスクが高すぎるのか、注視している。